2017年2月5日日曜日

ゲイの初恋

こんにちわ、こうたです。

今日は時間があるので、以前「初恋」というエントリーで書きかけた、僕自身が明確に自分がゲイなのかなと気付いたときのことを、思い出しながら、書いてみようと思います。

小学校3年生くらいから、僕はよく、気の合う友達3人組でつるんで遊んでいました。

ひとりは、あっちゃん。
体格が良くて喧嘩ッ早いガキ大将。面倒見の良いところもあって、力持ちでスポーツもできたので、男子からも女子からも結構人気がありました。家が大きな農家で、あっちゃんも良く手伝いをしていたので、いつも真っ黒に日焼けしていました。

ひとりは、まさくん。
母子家庭育ちで性格はおっとりしてちょっと口下手だけど、いつもニコニコしながらみんなの後ろをついてくる感じ。でも、性格に反して運動神経がよく、あっちゃんより短距離は早かったし、サッカーも上手かった。スラッとして結構ハンサムで威張ったところがないので、バレンタインに女の子から一番たくさんチョコレートをもらうのは、いつでもまさくんでした。

そして僕。
今日は何して遊ぶか提案したりする、三人の中での作戦参謀的な立ち位置。
当時、背の順で並ぶとクラスで一番前か二番目くらいのチビッコだったけど、勉強は好きだったので、あっちゃんとまさくんの宿題の面倒を見るのは、いつもだいたい僕の役目でした。


僕の家は両親が共働きで毎日夜遅くまで帰らず、まさくんちもお母さんが働いていたので、僕らは学校が終わるといつもだいたいあっちゃんの家に集まって遊んでいました(そういえば、おやつも夕飯も当たり前のようにあっちゃんのお母さんが用意してくれていたなぁ・・・とても、お世話になりました)。

そんな感じでそれぞれ性格が違いながらも、兄弟のように仲の良かった三人。
遊びといっても、ど田舎だったので、木登りしたり、川で泳いだり釣りをしたり、虫を捕まえたり、そんな野生児のようなことばかりしていました。

そんな僕らも、五年生の後半くらいから、ちょっとずつ恋愛のことを意識し始めました。

夏休みも終わる頃、田んぼのあぜ道で三人で遊んでいるとき、あっちゃんが突然、二人に言いました。

 「2組のひろ子ちゃん、可愛くない?なんか、気になるんだよね」

僕は正直まだその頃、恋愛を知識としてしか知らなかったので、

 「そうだね、元気で明るくていい子だよね」

と、話を合わせました。
まさくんは、

 「可愛いね、あっちゃん、付き合いたいの?」

と、聞きました。あっちゃんは頬を赤らめながら、

 「うん、付き合いたい!」

と、答えました。それが、僕が明確に覚えている、仲間内で「恋」らしきものについて初めて会話した瞬間だったと思います。

ひろ子ちゃんは、快活で頭も良くて、バレーボールの選手で運動神経も抜群の、クラスでもひときわ目立つ女の子でした。僕は、あっちゃんにはとても似合うんじゃないかと思いました。

それから、徐々に少年たちは色づきだし、あっちゃんは周囲に冷やかされながら、ひろ子ちゃんに告白しました(記憶があいまいだけど、確かそのあと何度かデートっぽいことをしてたんじゃないかな、と思います)。
三人の会話も、セミの抜け殻がいっぱい取れる場所の話から、徐々に恋や、ちょっとエロ方面の話にシフトしていきました。

内気なまさくんは、いきなり告白とかはしないまでも、僕たちにはひそかに好きな女の子の話を打ち明けてくれていました。
僕はといえば、前のエントリーで書いたように、なんとなく「あいつら付き合ってる」という雰囲気にされてしまった仲の良い女の子がいたお蔭で、「お前は彼女がいるからなー」ということになっていて、告白とか、誰が好きとかという恋愛トークからは距離を置くことができていました。

その頃から、僕はちょっと違和感を感じ始めていました。

あっちゃんや、まさくんは、僕を参謀役のように思っているので、何でもあけっぴろげに相談をしてくれます。でも、僕は、正直二人の悩みが、ピンと来ないのです。女の子にこんなにも夢中になる、ということが、どうにも理解できないのです。

そしてもうひとつ。

僕は、まさくんが夢中で女の子の話をしているとき、なんだか無性に腹が立つようになりました。あっちゃんがひろ子ちゃんに告白したときには何も思わなかったのに、です。でもそのときは、その感情が何なのかはよく理解できませんでした。


時は流れて、六年生の夏。

僕らはいつものように、近所の川に泳ぎに行きました。
3メートルくらいの滝みたいになっている場所から飛び降りて深くまでもぐって、滝つぼの底から一番たくさん石ころを拾って来たら勝ち、という遊びをしていたときのこと。

川べりで石の数を数えていたとき、気が付くと僕は、ぼーっと、まさくんのことを見つめていました。ちょっと男らしく、厚くなりだした胸板。そして、股間のふくらみ。それがおそらく、僕がゲイとしてはっきりと性欲を意識した瞬間だったと思います。

僕は混乱しました。その日は、急にお腹が痛くなったと言って先に家に帰りました。

自分は男なのに、何でまさくんのことを見ると心臓が高鳴るのか。
あっちゃんも、まさくんも、正常なのに、僕だけなんか変だ。
こんなこと、親にも先生にも、言えない。兄弟みたいな友達の身体を見て興奮するなんて、汚らわしい。

情報の少ない田舎だったこともあり、僕は自分が、世界でひとりだけの異常な存在なのだと思いました。本を読むのが好きだったので純文学も何冊か読んでいましたが、僕がそれまでに出会った作品に描かれた恋愛は、男女の間のものばかりでした。

まさくんに負い目を感じて、少しずつ距離を置くようになり、僕は生きていくことが怖くなって、自殺までも考えました。

でも、それを助けてくれたのも、やっぱり本でした。

村山由佳さんの「BAD KIDS」という作品があります。この小説の中に、主人公が同性のチームメイトを好きになり、悩み、葛藤する様が、生き生きと描かれていました。それはまさに、僕の悩みにリンクしました。

少なくとも、世界にひとりだけでは、ないのだ。
ちょっとだけ、希望が持てました。
あのとき村山由佳さんの小説に出会えて、本当に良かったと思うのです。

ずーっと、ずーっと、誰にも話したことのなかった自分の初恋の話を、やっとこうやって文章にすることができました。村山さんと比較するのはおこがましいけれど、僕のこんな駄文も、どこかの誰かの心とリンクして、助けになれば嬉しいなと思います。

初恋は実らないというけれど、ゲイの初恋なんて、もうめちゃくちゃ大変なんですよ!(笑)



4 件のコメント:

  1. 先日ちょっとお話に出ていた『初恋』のお話ですね。
    ド田舎にお住まいだった‥とありましたけど、自然の豊かな環境で仲良し3人組が元気に駆け回っている様子が浮かんできて、アニメの題材にでもなりそうだなって思いました。

    小5で何となくまさくんに惹かれたとなると、比較的ゲイへの目覚めは早かったのかな?(平均値が分からないケド)
    例の勝手に(?)ペアにされていた女のコはともかく、やっぱりまさくんへの想いは特別だったんでしょうね。
    でも、まだその若さ(っていうか、まだ子供!( ノД`))でそこまで悩んでしまったなんて、本当に少年こうたくんが可哀想になりました。
    自殺まで考えたというのは、相当な苦しみだったと思うけれど、無事に今まで生きててくれて良かった。
    じゃないと、I先輩にだって出会えなかったですもん。その本と出合えて良かったです。

    まさくんとは距離を取り始めたとあり、その後についてが全く触れられてなかったけれど、もう完全なる没交渉ですかね。
    今はその「ド田舎」にお住まいとは思えないので、引越しをして物理的に距離が離れたりして、もうどこで何をしているか‥状態なのかもしれないですけど。

    I先輩はゲイサークルで知り合ったという事だったし、(私目線で見ると)絶対に先輩はこうたさんからのコンタクトを喜ぶはずだと思い、ハッパかけちゃいましたけど、今回のまさくんに関しては「連絡してみれば?」とは言わないかな‥やっぱり。
    こうたさんの心の中で、完全にまさくんに関する気持ちの整理が出来ていて「懐かしい幼馴染」として会えるというのなら、そういう機会があってもいいかな?とは思うけれど、でもこれに関しては想い出は想い出に‥がいいのかナ、なんて思ったりして。

    今は情報社会だし、若干だけどLGBTの地位向上の動きもあるので、知らずに同性愛に目覚めた人達が以前のこうたさんみたいに悩まないで済む事を願います。
    その後、こうたさんの恋が初めて実ったのっていつでしょう?
    それはまだブログ内で触れられてないですよネ。ナイショでなければ、是非お聞きしてみたいです(^^)d

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    1. milkaさん、いつもコメントありがとうございます!

      僕も統計とったわけではないので分からないのですが、ゲイへの目覚めって、たぶん普通に思春期に訪れるんじゃないかなと思います。多感な時期だからこそ、みんなと違うことに恐怖するし、悩んでいる人も多いんじゃないかと思います。

      まさくんとは、そうですね、ご想像の通りです。別の中学校に進学したことで自然と離れてしまいました。まさくんが女の子を好きなのははっきりしていたし、こればっかりは、仕方なかったのかなと思います。Iさんの件とは違ってまさくんへの恋心は自分の中で決着がついているので、大丈夫です(笑)

      僕の恋が実った話!・・・そうですね、比較的最近まで引っ張ったりしたのでまだ自分の中で消化できてない感もあるのですが、機会があれば書こうと思います。ナイショというわけではないです(笑)

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  2. ゲイの初恋って、きっと自分自身が何よりも戸惑いますよね。
    僕も明らかに周囲と自分が違うという違和感が苦痛でした。
    最近になってやっと自分を受け入れられ始めましたが、それまでは男の人を目で追ってしまう自分が憎くてたまりませんでした。

    ですので、自殺まで考えた少年時代のこうたさんの気持ち分かります。
    「ゲイだって堂々と胸張って幸せになれるんだよ」
    という言葉を僕はずっと誰かに言って欲しかったのです。

    だから、そんな先例になりたいという気持ちから
    ここ最近僕はゲイであることを公言して生きていくことにしました。
    それこそ、1度死んだつもりになって0からやり直し始めたところです。
    (親にはまだ言えそうにありませんが)

    きっとこうたさんのブログに出会えたことも
    僕にとっては1つの良いきっかけになったのだと思います。

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    1. ゲイの数だけ、初恋の切ないドラマがあるんだろうなあ。
      自分が憎くなってしまうという気持ち、すごく分かります。誰のせいでもなく、自分がおかしいのが悪いんだと、自分自身を責めてしまうんですね。

      そこを乗り越えて胸を張って生きていくことを決めたsibaくんは凄いなと尊敬します。お互い、胸を張って生きていきましょうね!

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